Endarterectomy

治療概要

動脈内膜剥除術(Endarterectomy)は、血管の内壁に蓄積したプラークや血栓を除去し、血流を回復させて重篤な合併症を予防する外科手術です。この手術は、頸動脈や末梢動脈の閉塞患者によく行われ、閉塞物質を直接除去することで、脳卒中、心筋梗塞、四肢虚血のリスクを著しく低減します。通常、動脈狭窄が70%以上、または急性症状を伴う患者に適用されます。

治療の種類とメカニズム

動脈内膜剥除術は、頸動脈内膜剥除術(CEA)と末梢動脈内膜剥除術の二つに大別されます。手術のメカニズムは、外膜に到達した後、特殊な器具を用いて血管内壁の粥状硬化プラークを剥離し、血管構造を修復して正常な血流を回復させることです。

他の血管介入治療と異なり、この手術は病変組織を直接除去し、狭窄の改善だけでなく、プラーク破裂のリスク源も除去します。頸動脈手術は通常局所麻酔下で行われ、末梢動脈手術は全身麻酔が必要となる場合があります。

適応症

主な適応は以下の通りです:

  • 頸動脈狭窄が70%以上で無症状、または50-69%で一過性脳虚血発作(TIA)がある場合
  • 下肢動脈閉塞による間欠性跛行や組織壊死
  • 他の血管形成術や薬物療法が効果不十分な重度の閉塞症状

また、急性脳卒中後の患者にも適用可能で、血管閉塞の位置が明確で発症から24時間以内の場合は、神経機能を救うために緊急手術を検討します。

使用方法と投与量

手術は一般的に三段階に分かれます:1. 麻酔後に動脈周囲組織を切開;2. 病変内膜を剥離・除去;3.縫合糸で血管構造を修復します。手術時間は動脈の位置により異なり、頸動脈は約2-3時間、末梢動脈はそれ以上かかる場合があります。

薬物投与量の問題はなく、抗凝固薬との併用が必要です。術後は定期的に血圧や血流動態を監視し、患者の回復状況に応じて治療計画を調整します。

効果と利点

主な利点は以下の通りです:

  • 閉塞物を直接除去し、長期的に狭窄再発率が薬物治療より低い
  • 頸動脈手術は脳卒中リスクを60-70%低減させる
  • ステント留置術と比較して、術後の慢性閉塞リスクが低い

下肢動脈閉塞患者に対しては、歩行距離や組織の生存率を著しく改善し、術後の回復も比較的安定しています。

リスクと副作用

可能な合併症には:

  • 手術部位の血腫や出血
  • 神経損傷(頸動脈手術では一時的な声帯麻痺を引き起こすこともあります)
  • 再狭窄率は約2-5%で、定期的な追跡が必要です

重篤なリスク:手術中に血栓が剥離すると即時の脳卒中を引き起こす可能性があり、術後の血栓形成や動脈破裂は緊急対応が必要です。高齢者や糖尿病合併患者はリスクが高いため、適応の厳格な評価が求められます。

注意事項と禁忌症

禁忌症には:

  • 全身麻酔に耐えられない、または心肺機能が極端に低下している場合
  • 血管解剖構造に異常があり、安全に手術できない場合
  • 術前3ヶ月以内に重大な出血歴がある場合

術前には心臓機能や血管の画像診断を詳細に評価し、術後24時間以内に血圧や神経機能を密接に監視します。患者は少なくとも4週間は激しい活動を避ける必要があります。

他の治療との相互作用

抗凝固薬(ワルファリンなど)との併用が必要ですが、出血リスクを低減するために手術の7日前に中止します。血管形成術(血管拡張術)と比較して、術後は脂質低下薬を併用し、動脈の健康状態を維持します。

抗血小板薬(アスピリンなど)を併用している場合は、出血を避けるために投薬タイミングを調整します。

治療効果と証拠

大規模臨床試験によると、頸動脈内膜剥除術は、5年以内の脳卒中発生率を13%から6%に低減させることが示されています。重度の下肢虚血患者では、手術後の跛行改善率は80%以上です。

長期追跡では、手術群の二次手術必要率は血管形成術群より30%低く、構造的修復の優位性を示しています。

代替案

主な代替案には:

  • 血管形成術とステント留置術(低侵襲治療)
  • 抗血小板薬と脂質低下薬の薬物療法の組み合わせ
  • 高用量スタチン薬と生活習慣の改善

代替案を選択する際は、患者の年齢、動脈の解剖構造、併存症を考慮します。例えば、高齢者には麻酔リスクを減らすため血管形成術を優先することがあります。

 

よくある質問

動脈内膜剥除術後、どのくらいで日常生活に復帰できますか?

回復時間は個人の体質や手術部位によりますが、一般的に入院は1〜3日間で、短距離の歩行など一部の活動は手術後数日で開始可能です。完全な日常生活への復帰には通常2〜6週間かかり、医師の指示に従って徐々に活動量を増やし、重い物を持ち上げたり激しい運動を避ける必要があります。

術後にめまいや手足の無力を感じた場合、どう対処すればいいですか?

これらの症状は血流の変化や一時的な神経圧迫による可能性がありますが、直ちに医療チームに知らせてください。医師は画像検査を行い血管の状態を確認し、必要に応じて薬物調整や理学療法を提案します。自己判断せず、速やかに医療機関を受診してください。

動脈内膜剥除術を受けた後、長期的に抗凝固薬を服用する必要がありますか?

医師は、患者の動脈閉塞の程度や合併症リスクに基づき、抗血小板薬や抗凝固薬の処方を決定します。一部の患者は血栓予防のために長期服用が必要ですが、投与量や薬剤の種類は定期的に評価・調整されます。服薬期間中は血液検査を行い、凝固機能を監視し、出血リスクを高める薬剤との併用を避ける必要があります。

手術後、動脈の再狭窄を防ぐにはどうすればいいですか?

術後は高血圧、高脂血症、高血糖を厳格にコントロールし、禁煙を徹底することで再狭窄リスクを低減します。低脂肪・高繊維の食事、規則的な運動を心掛け、血管超音波検査を定期的に受けることも推奨されます。糖尿病や高脂血症を併発している場合は、薬物療法と生活習慣の改善を併用します。

神経損傷の発生率はどのくらいですか?また、そのリスクをどう低減できますか?

神経損傷のリスクは約1-3%であり、手術中の血流停止やプラークの破片移動によるものです。現代の技術(血流導管や体外循環システムなど)を用いることでリスクを低減でき、経験豊富な医療チームの選択も重要です。術前の血管造影による血管構造の評価を行い、安全な手術方法を選択します。