IUD insertion/removal

治療概要

子宮内避妊器(IUD)の挿入と除去は、一般的な婦人科手術の一つで、長期避妊や特定の医療ニーズに使用されます。この治療は、避妊器具を子宮腔内に挿入し、可逆的な避妊効果を提供するか、特定の状況下で除去して妊孕性を回復させるものです。手術は通常、外来で行われ、所要時間は約5〜15分ですが、患者の健康状態を医師が評価した上で実施されます。

IUDの主な目的は、高効率で長期的な避妊方法を提供することであり、その利点には避妊成功率が99%に達すること、効果が3〜10年間持続すること、除去後に妊孕性が迅速に回復することがあります。さらに、特定のホルモンタイプのIUDは、月経過多や子宮内膜症などの婦人科疾患の治療にも用いられます。

治療の種類とメカニズム

IUDは銅含有タイプとホルモンタイプの二つに分類されます。銅IUD(例:パラガード)は銅イオンにより精子の活動や受精卵の着床を抑制します。一方、ホルモンIUD(例:ミレーナ、カイレーナ)は黄体ホルモン類似物質を放出し、子宮内膜を薄くし、頸管粘液を増粘させることで精子の侵入を妨げます。

その作用機序は、子宮環境を変化させて受精や着床を防ぐことにあり、効果は即時に現れます(銅タイプは位置を確保するために5日間待つ必要があります)。ホルモンタイプのIUDはまた、月経量を減少させ、多くの医療効果をもたらします。

適応症

  • 長期避妊を必要とする育児婦
  • 毎日の避妊薬服用に従わない女性
  • 月経痛や月経過多の治療を必要とする女性

安定したパートナーがいるが、先天的な子宮異常や感染リスクのない女性に適しています。一部のホルモンタイプのIUDは、子宮内膜症の症状緩和にも承認されています。

使用方法と投与量

挿入前に子宮の大きさ測定と感染症のスクリーニングを行い、医師は拡張器を用いて子宮底にIUDを挿入します。投与量は患者の年齢、子宮の状態、健康歴に応じて決定され、35歳以上の非喫煙者にはホルモンタイプが選択されることがあります。多胎歴のある女性には適切なサイズを選びます。

除去は通常、外来で行われ、専用の器具を用いて避妊器具の尾線を掴みます。月経中や子宮口が緩んでいる時に行うことが推奨され、子宮穿孔のリスクを低減します。

利点とメリット

  • 避妊効果が長持ちし、3〜12年間持続可能
  • 高い可逆性、除去後すぐに妊孕性が回復
  • ホルモンタイプは子宮内膜癌のリスクを低減(ホルモンタイプのみ)

他の避妊方法と比較して、IUDは毎日の薬物使用の手間を減らし、エストロゲンを含まないため、授乳中や高血圧の患者にも適しています。ホルモンタイプはまた、不規則な月経の改善にも役立ちます。

リスクと副作用

一般的な短期的不快感には、挿入後の下腹部の痛みや月経外出血がありますが、通常は数ヶ月で改善します。注意すべきは、重篤な感染、子宮穿孔、避妊器具の移動などの合併症は稀ですが、深刻な結果を招く可能性があります。

ホルモンタイプは月経間欠出血や乳房の張りを引き起こすことがあります。一方、銅含有型は月経量や月経痛を悪化させることがあります。重度の腹痛や発熱があれば、直ちに医師の診察を受けてください。

注意事項と禁忌事項

  • 子宮奇形や子宮筋腫のある患者は禁忌
  • 未治療の子宮頸部または子宮内感染は禁忌
  • 不明な陰道出血の既往歴がある場合は診断が必要

挿入前に子宮頸部の検査や性感染症のスクリーニングを行います。妊娠の疑いがある場合や重篤な血栓症の既往歴がある場合は、他の避妊方法を勧められることがあります。

他の治療との相互作用

銅IUDと抗凝血薬の併用は出血リスクを増加させる可能性があります。ホルモンIUDは抗てんかん薬(例:カルバマゼピン)と併用すると薬効が低下することがあります。IUDと経口避妊薬を併用しても避妊効果は増加せず、むしろ血栓リスクが高まる可能性があります。

放射線治療や免疫抑制剤治療を受けている患者は、リスクと代替案について医師と相談してください。

治療効果と証拠

臨床研究によると、銅IUDの年間失敗率は0.8%未満であり、ホルモンIUDは月経量を最大90%低減できます。長期追跡では、95%以上の患者が除去後6ヶ月以内に正常な排卵機能を回復しています。

世界保健機関(WHO)は、IUDを第一選択の避妊方法と位置付けており、その避妊効率と安全性は複数のメタ分析で証明されています。ホルモンタイプは月経関連症状の改善に関する研究も『ニューイングランド医学雑誌』などのトップジャーナルに掲載されています。

代替案

  • 皮下埋込剤(例:イプリノン)
  • 卵管結紮や男性避妊手術
  • 子宮鏡下避妊システム(例:スカイラ)

経口避妊薬やコンドームなどの避妊法も選択肢ですが、IUDの長期的な安定性には劣ります。皮下埋込剤は便利ですが、3年ごとに交換が必要です。卵管結紮は永久的な選択肢です。

医師は患者の年齢や妊娠計画、健康状態に基づき、各方法の避妊効果と副作用リスクを比較し、個別のアドバイスを提供します。

 

よくある質問

子宮内避妊器(IUD)を挿入する前に必要な検査や準備は何ですか?

IUD挿入前には、子宮頸部の細胞診、子宮内膜感染のスクリーニング(性行為感染症検査など)、子宮の位置確認を推奨します。医師は月経期間中の手術を避けるよう指示し、麻酔が必要な場合に備えて手術前に4時間の空腹を勧めることがあります。また、過去の子宮手術歴やアレルギー歴を伝えることも重要です。

IUD挿入後に激しい腹痛や大量出血があった場合、どうすればいいですか?

挿入後24時間以内に激しい腹痛、38℃以上の発熱、または正常な月経を超える出血があれば、直ちに医師の診察を受けてください。子宮穿孔や感染の可能性があり、緊急処置が必要です。軽度の不快感には、医師が処方した鎮痛薬を服用し、症状の変化を観察します。

IUD挿入後に重い物を持ち上げたり激しい運動を避ける必要がありますか?

手術後24〜48時間は、5kg以上の重い物を持ち上げたり激しい運動を避けることが推奨されます。これは子宮出血や避妊器具の移動リスクを減らすためです。ただし、日常の歩行や軽い活動は通常通り行えます。具体的な制限は、個人の回復状況や医師の指示に従って調整してください。

IUDが移動または脱落する可能性は高いですか?異常をどうやって見つけますか?

初めてIUDを使用する場合、約3〜5%が最初の1年以内に移動または脱落する可能性があります。特に手術後3ヶ月以内に多く発生します。月経間隔の異常や性交時に避妊器具の尾端を触れる、または下腹部の持続的な不快感がある場合は、直ちに超音波検査で位置確認を行ってください。定期的なフォローアップによりリスクを低減できます。

IUDを挿入した後に妊娠を計画している場合、どのくらい待つ必要がありますか?

IUDを除去すればすぐに妊娠を試みることができます。待機期間は必要ありません。ただし、黄体ホルモンを含む避妊器具(例:避妊棒)を使用していた場合、一部の女性は正常な排卵サイクルに戻るまで数週間かかることがあります。妊娠を計画する前に、医師と相談し、子宮内に残留装置がないことを確認してください。